味付けがされて

もっともモトコの予言したキャンペーンがスタートすると言っていたのは、これから4年後の2017年?とかなんとか言ってたわけで???、そのことで俺が今、どうこう言うこともないわけなのだが物業加按

そんなことよりも俺の中で気になっていたのはこの4年の間に俺の目の前で3人もの人間が死んだことだった。

ひとり目は新宿高島屋の屋上より俺の目の前の道路にオトコが飛び降り、警察がその現場を処理をするのに出くわしたこと。
そしてふたり目も同じ新宿で、JR中央線ホームにオトコが飛び降り俺の目の前で電車が急停車したこと(その時は運良く直接はその殺傷現場を目撃せずに済んだのだが)。
最後の3人目は三軒茶屋と池尻の中間あたりの国道246でのことだった。
俺が歩道を歩いている目の前でオトコが道路にいきなりまたも飛び出し、暴走するBMWに跳ね飛ばされそのまま即死した(その時にオトコの肉片が俺の目の前に飛んで来てそれをこの俺が飲み込んだ、などと言うことはもちろんなかったのだが)。

年間3万人強の人間が毎年のように自殺に追い込まれているこの自殺大国日本とは言え貼牛、いくらなんでもこの俺がその現場を目前で4年間に3度目撃すると言うのは確率的にもちょっと異常な気がしていた。

俺はその度ごとにその現場にモトコがいたのでは?と思い、すぐにその周辺を見回してみたのだが、そこに彼女の姿を見つけることは出来なかった。

まあ、これも単なる偶然?と言うよりは俺のネガティブな誇大妄想が引き寄せたシンクロニシティー?なんて言ってしまえばそれまでなのだが。
それにしてもちょっと???。

とは言えまあ、この俺にとってのあの運命のオンナ?とも言えたユリエ、その同一人物だったかもしれないモトコの消息については、その後も依然として俺たちの間では謎のまま、と言うこととなった。
普通に年取ったところでソイツが他人に見えることだって十分にありえる。
増してや派手に整形したとなりゃあもう顔なんて全くの別人に見えるだろうよ」
とホンジョウは自信ありげにそう断言し、さらにこう続けた。
ナカバヤシ?
もしかしたらこれは???、20年越しの???とんだ純愛物語かもしれないぞ。
まあ、そのアウトプットとしてはかなりエキセントリックな味付けがされてるけどな」

純愛?物語って」
と、俺はしばらくの間呆然としグラスの氷が溶けていくのをただ見つめていた實紱環球

俺にはそうとしか思えないんだけどなあ?」
とダメ押しのホンジョウに対し、
ああ、もうわかったよ。
認めるよ、オマエの言う通りふたりが同一人物だったって言う可能性は確かにある。
でもそれにしたっでだ???。
それにしたって、それもなんでまた今頃になって???、それもそんな小細工をしてまで俺に会いにくる必要がある?」
と俺にはどうしてもまだその根底に納得出来ないものがあった。
そしてアイツが俺に語って聞かせた???あのわけのわからない話にしてもだ。